私の咬合医療の師匠である、大阪大学名誉教授、日本咬合臨床研究所所長、丸山咬合医療センター所長の、丸山剛郎先生による2020年度臨床研修セミナー、特定非営利活動法人 日本咬合学会 質疑応答の内容です。少し長めなので分割しています。

 

質疑応答part3からの続きになります。

最初→質疑応答part1

前→質疑応答part3

次→質疑応答 part5

市民公開講座→part1

 

咬合医療に関する歯科医からの質問に丸山剛郎先生が答える

という専門的な内容になっています。

 

 

Q.MFAの初回と2回目以降の調整の仕方について

 

A.まず初回って言ったらラボからできてきたところだよね。だから気泡取り。
目に見えない細かい気泡が、肉眼では見えない気泡が、いっぱいついています。
だから僕お掃除と呼んでるけどね、フワッとエッジを立てないでキレイに掃き掃除してあげるみたいな感じ。フワッと全体に。
そしてきちっとシーティングするように。どっか浮いてたら話にならない。

 

それから初回はね、入れてまず模型上で調整しますけどね。
模型上でMFAに下顎模型をいれてね、スーッと入るか、ゴリゴリっと入るか、きつすぎるか、その場所をとります。
シーティングはスーッと入るように。それから今度抜きますその場所から。
スーッと抜くときに、壁に引っかからないかどうか。
特に下顎の前歯が捻転してる場合に、捻転してるに角っこが当たる場合が極めて多い。そこ必ず取ってあげる。
それはほんとは技工士がやってるはずだけどね、できてない場合が極めて多い。
だから丁寧に取らなきゃいけない。

 

患者さんの口の中にそれ入れるでしょ、模型上で調整済んだやつをね。
入れて、閉じてくださいって言ってどっかにガクって当たって入るようじゃ話にならない。
スッと通す、はめる、開け閉めする、何の抵抗もなくできるようにする。
それが初回です。
だから初回はね、正しくシーティングして、下顎が正しくその位置にいってくれることを目標とする。
ちゃんと入ってくれること。

 

一か月後は、今度は症状が残ってるとかね、この症状がきついといった場合、どの部位かって考える。
下顎模型見たら分かるよね、どこが悪さしてるか。その部分を調整する。
そのときにね、よく言うけれどもね、筋膜を押す場所。
筋膜こう下がってるでしょ、上からずっときてるじゃん。
それを押す場所をとる。
押してる場所でもね、ナンバーワンのところを見つけ出して調整する。
ナンバーツーはいくらやってもダメ。

 

それは症状みながら。
首は楽になったけど腰が痛くてしょうがないって言われたらね、側方だよね。
だからさっき言ったように4番とか5番とか、側方偏位を生む、側方で筋膜を押す部位を見つけたらいいわけ。
それがたとえば頬側咬頭の4番5番を鉛筆で線引くとするじゃない。
上の出っ張りで見ることもあるし、頬側の外斜面が膨隆している場合もある。
こういうとこも押すわけだから、膨隆部の方がたくさん筋膜を押す場合もある。
個々に必ず模型は立って真上から見る、横から見ても絶対に分からない。
僕とこの娘にもそう教えてるしね。
どっちだと思うって聞いて横から見ようとしたら、ダメだ必ず真正面から見なさい。
横からじゃ絶対に見えない、真上から見るの。そしたら見える。

 

 

Q.MFA治療で調整中、歯、歯列の形態異常運動の問題もあり、症状がなかなかとれない時の治療方法

 

A.リアルな問題だね、苦しんでると思うよ。
大事なことはね、どのステップにおいても100点満点で通過すること。
たとえば診断95点、技工士も95点、一回目入れたときの調整も90点。
そうすると95点×95点×90点で80点くらいになってしまう。だんだん治らない。
だから絶対に自信持つためには、毎回100点でパーフェクトで通過しなきゃ絶対にダメ。
首かしげるような状態でスタートしたら最悪泥沼。絶対それが大事。

 

最初の診断絶対に100点になったと、装着したときも100点になったと、一回目の調整も100点になったと。
その次、ダメ、ダメ、ダメ、なんでだろうかと。これは答えがある。
そこまで全部合ってるんでしょ?そしたら二回目の調整が悪いかもしれない、となるのよ。
そうすると悪い部位の見つけ方が足らないということ。どっか見落としてるということ。
ある先生の症例もあったけどね、毎月一回症例持ってきてね、僕が話するのね。
ここが悪いって言ってるのに、本人はそうじゃないって思ってやらないの、言われたこと。
いつまで経ってもね、3か月経っても4か月経っても治らない。
患者さんも嫌気さしたくらい、そのあと補綴予定してたのも止めやということになった。
僕はとうとうその先生に怒った、なんで僕の言われた通りにしないのかと。
バサッとそこを削合してしまえ、それやったらコロッと治ったのよ。そしてたくさん補綴することになった。
だから、見つけること。
彼はね自分で勝手にそうでないと思ったわけ。この程度でいいと思ったの。絶対それダメ。

 

コツはね、難症例かどうか見極めなきゃならない。
患者さん来るでしょ?3、4回目ね、まだ症状嫌なこと書いてあるわけ、ムカッとくること。
あるでしょ皆さん?でね、口の中見てあ、そうかってなるわけ。
難症例だったんだ、そうだ。
さっき話したよね難症例、仕方がないなっていうことなの。
そしたらどうするかってさっき言ったように、ウエットティッシュとかビニールシートとか指で押したりする。
そして、問題のところをポイントリシェイピングする。その時は装置は絶対に触らない。
勝手に歯を削らない、患者さん起こるよ。特に治らないで不信感持ち始めている人に対して歯削ったら絶対ダメなのよ。
だから、磨くとかね。気をつけなきゃいけない。場合によっては一筆書いてもらう。
そして、また装置入れる。100点になる。
その時に言う言葉がね、今日は分かってるでしょ、装置調整してないんです。前回装置調整して良かったでしょって。
また悪くなったでしょ、あなたの口の中のね、悪い咬合異常があるから、それを今日はちょっと磨いてキレイに治したと。
そしたらこうなるでしょ。だから将来全体のね、調整したり、かぶせ直したり、矯正したりしなきゃいけないよって話にもっていくのよ。

 

大事なのはね、毎回100点で通過するということ。
最初に首傾げてたらね、やっぱりあれだったんかな、診断間違ってたんかなって、泥沼になるのよ。
そうじゃない、最初にちゃんとした診断絶対にしてほしい。
だから患者さんを連れて先生方が僕とこ来たときにね、診断は絶対に僕がやるってね、一回目の調整も僕がやった方がいいって言うの。
さっき言った調整難しいのよ、それ間違ったら全然治らないから。
毎回患者さんに言うのよ、この前来たとき良かったでしょって。いやって言われたら話にならないのよ。

 

 

Q.1回目を終えて2回目に来たときに当初はすごく良かったのに、だんだん落ちていってしまうっていうときは?

 

A.書いてあるよね、だんだん悪くなったとかね、それも書かかないで悪いとか書く人もいるね。
僕は2回目来たときにね、首が痛いよね?ああダメね。力もないし腰も痛いよね。当然だよねって。
で、分かった分かったちょっと見ておいて下さいって。
調整するの、黙って。で入れるの。100点になる。そしたら説明する。
ほら良くなったでしょ?たったこれだけで。なんでこうなったか分かりますか?
入れたとき良かったでしょ、だけどあなたの顎の位置が一気にそこにいくわけないでしょ?何十年その位置で生きてたんだから。
だからまた元の位置に戻ろうとしてね、装置を崩しちゃうわけ。装置が犠牲になって悪くなってる。
だからそれを修正したら良くなるんですよ、当たり前のことだよって。そしたら安心する。
良くあるよ、2週間まで良かったけど悪くなったとか。当然だよって言う。
先生が不安に思ったり首傾げたりしちゃ絶対にいけない。そんなこと分かってるって言うの。

 

さっきの質問も同じで。
この歯は触らないで、まずは正しい位置にもっていく。
だけどこいつがいっつも悪さするから、ちょいと逃がしてあげたっていう話にもっていくわけ。
その時は絶対調整したらダメ、装置触ったらダメ。装置触ったから治ったかと思うでしょ?
いくら経っても、装置入れた、治った、すぐまた次悪くなったって言われる。
今日は装置触らないでしょ?あなたの悪いところを治して良くなるんだよって、安心しなさいって言うの。
装置の問題ではない。僕の診断の問題ではない。あなたの歯が悪い。必ずそういう論理ですよ。
そうしないと患者さんはね、装置間違ってたん違うかとかね、あの先生調整下手なんじゃないかとかそっちいっちゃうわけよ。
そうなると蟻地獄でね、患者さんと大ゲンカして終わり。

 

 

Q.顎関節症がある場合とない場合のMFAの調整方法の違いについて
  ~MFA治療において顎関節症を起こさないための注意点~

 

A.この質問もね、経験から来てるんだと思うんだよね。
出した先のラボもね、新人に変わることもあるわけよ。正しくできてない。
調整の仕方は基本的に一緒なのよ、全く一緒なのよ。
でもね顎関節症のある場合、まず設計が間違ったらダメだよね。
深すぎたり、浅すぎたら治らないし、それから技工間違ったらダメ。

 

たとえば、装着のときの話したけどね、前歯がゴリゴリっと当たったら絶対ダメなのよ。関節くるよね。
開け閉めで引っかかってもダメよね。やっぱり筋肉性の関節くるよね。
設計あんまり間違うことないと思うんだけどね、技工のミスが極めて多い。
入れたときに関節が痛いなんてそんなことは言わないんよ。
2、3か月してから関節出てくるの。間違ってると。

 

これはね僕もね、あるセンターで経験してるのよ。
技工士がね、下手な作り方したやつね、一応調整するよセットのときにね。
心がけてるけど、やっぱり2、3か月後に出てくるの。顎関節症が。
大変だよ、ほかの症状で来てるのにね、顎関節症生んでどうするのかと。そうでしょ?

 

きつ過ぎたらダメ、閉じるときも引っかかったらダメよ、それから緩すぎるのもダメ。
すり抜けるように作りなさいっていうでしょ、上がひらいてるのがある。
斜面で止まったらね、必ず顎が後ろに引かれる。必ず顎関節症になる。
緩きゃいいってものじゃないのよ。傾斜ひらきすぎたらダメなのよ。これものすごく大事なこと。
ずいぶん経験してる最近。閉じるとき当たったらダメでしょ、だからたくさんとるのよ。
入り口のショートレベル+中のロングレベルまで全部とるのよ。
そして開け閉めで顎が後ろに下がって顎関節症になる。クリッカー出てきて痛いって言いだす。

 

これはほんとにね、下手な技工士に当たったら大変な目にあう。
ものすごく大事なこと。

 

 

続き→質疑応答 part5

最初→質疑応答part1

市民公開講座→part1

 

かみ合わせ治療はすぐに効果を実感できます。

長い間病院に通ったけどとれない痛み、マッサージに通ったけどとれないコリ感。

それはかみ合わせが悪い可能性があります。

当院では無料個別相談会も実施しております。

もしかしてと思ったら一度ご連絡ください。

 

青木歯科医院:和歌山県 岩出市 吉田257-1

フリーダイヤル:0120-11-55-99

ホームページは青木歯科医院HPから

青木歯科医院