私の咬合医療の師匠である、大阪大学名誉教授、日本咬合臨床研究所所長、丸山咬合医療センター所長の、丸山剛郎先生による2020年度臨床研修セミナー、特定非営利活動法人 日本咬合学会 質疑応答の内容です。少し長めなので分割しています。

 

次→質疑応答 part2

市民公開講座→part1

 

咬合医療に関する歯科医からの質問に丸山剛郎先生が答える

という専門的な内容になっています。

 

 

 

Q.かみ合わせ治療の患者導入について

 

A.丸山咬合医療やっていく上で一番大事なのは患者の導入なんです。
患者が来ないと絶対できないわけで。
まずは、認知症予防やアンチエイジングになるなど一般の方々に認知して頂くことが大事で、そのための方策として日本咬合学会では公開講座をしています。
最初は30~50人だったのが今は300~500人と関心を持ってくれる方が増えています。

 

次に歯科会そのものが認識して頂かないと困る。
他の歯科医に、バカなことやってるよねって思われていたら話にならない。
しかし今は特殊な人たちが変なことをやっているという認識が高い。
それをやはり改めていかなければならない。
マスコミなんかも最近はわりあい取り上げてくれるようになりました。
そういうふうに一般の先生がたにも認識して頂くというのが2つめ。

 

3つめに、わが歯科医院はこういう治療をやっているとPRをしなきゃいけない。
ホームページなどいろんな方法があろうと思います。タウン誌もありますし。
自分の歯科医院のPRをしっかりやってほしいということです。

 

いざ患者さんが来て受付で話をしたときに、スタッフが何のこと?じゃ話にならない。
スタッフ自身が咬合医療を理解して知識を持っていかなきゃならない。
腰を痛そうにしていたら、腰が痛いんですか?とか問いかけができるように。
スタッフから、それはかみ合わせに関係ありますよと、知識を持ってアプローチしていかなきゃならない。

 

一般の患者さんが歯科治療にいらっしゃったときに先生自身があるいはスタッフ自身が、その患者さんが持ってる全身健康に対する症状に気がついて話しかけられなきゃならない。
そこから患者さんを導入できる、一般の歯科医療のなかでそういう患者さんを見つけ出すことが大事だと思います。

 

歯科医の先生自身がよく理解しておくこと、知識・技術を持っておくということ。
たとえば、今まで腰の触診なんかしたことのない歯科医が、いきなり腰の痛い患者さんの触診をしようとしても頭で分かっていても手が動かない。
触っても分からないと思う。なので普段から知識・技術を培っておくこと。

 

 

Q.不定愁訴の出やすい人と出にくい人の違い

 

A.非常に難しい質問、答えはいっぱいあると思う。
まず患者さんの性格・考え方、それ以前に生活環境。家族環境・家族構成。
たとえば、非常に幸せに暮らしている方、夫婦円満であるとか、そういう方は不定愁訴は出にくい。
ところが、離婚したとか、旦那さんが帰ってこないとか、兄弟仲悪いとか。
そういった生活環境・家族環境とか症状に非常に影響してきます。

 

たとえば、顎ずれの身体的な症状をたくさん持ってらっしゃるのに、心の症状とか脳の症状を全く持っていない方がいます。
そういう方には、あなた幸せですね?ご主人が優しいでしょう、といいます。
そういった環境の方は症状は出にくいんです。
出やすい人は逆で家庭が暗いとかDVあるとか。脳が働きにくくなります。

 

 

Q.下顎前歯・小臼歯と身体の関わりについて

 

A.重要な質問で、これが分かればかなり咬合と全身症状との関係が分かってきます。
僕自身もだんだん分かってきた。経験から。
この歯のせいでこんな症状でるのか、このせいで治ってくのか、これを治せば症状がとれていくのか。
そういった臨床経験から、それぞれの歯の意義。全身健康に及ぼす意義というのが明らかになってきています。

 

たとえば、前歯は前後の問題であるとか、臼歯は側方であるとか。
そのなかで、下顎の歯の方が重要。上顎は知覚神経だけ。
下顎は知覚神経+体性感覚を伴った運動神経が支配しているので、下顎が最も重要。

 

前歯でも中切歯・側切歯・犬歯があって、このなかで、歯列弓形態のなかで、どの歯がどんな形で身体に関わりを持ってくるかを考えなきゃいけない。
中切歯・側切歯は側方的なファクター異常はあまりない。
それに対して犬歯は角っこにある、ちょうど歯列弓の隅角にあって非常に重要な位置にある。
しかも歯根膜は前歯牙の中で一番面積が大きいと言われている。
そうすると犬歯の役割ってなんなのかな、角っこにあるんだから前歯の役割+臼歯の役割があってもいいんじゃないかなと、考えられますね。
犬歯の正常な配列の場合、犬歯の近心面と遠心面がありますね。
犬歯の近心側は前歯に所属すると考えていい。
それから唇面の遠心側、これは側方ファクター、臼歯に所属すると考えてもいい。
つまり、犬歯は前歯の役割も臼歯の役割も担っていると考えなきゃいけない。
しかも歯根膜感覚もかなり敏感である。
そう考えると中切歯と側切歯の歯根膜、歯の根の形っていうものは、どの動きに対して敏感に感知するか。
前歯の関係からいうと、前後的ですね。犬歯は角張っていて近心と遠心両方絡んでくる。そう考えていきます。

 

小臼歯は第一小臼歯と第二小臼歯があります。
第一小臼歯は、位置的に犬歯に近い。第二小臼歯は大臼歯に近い。
たとえば、第一小臼歯と第二小臼歯がちょっと唇側に振っているとしたら、どちらが影響大かというと第一小臼歯でしょう。
第一小臼歯の方が影響が強く出てくる。第二小臼歯は隠れやすい。
身体の症状としては、第一小臼歯の近心、特に隅角のあたりは前後的な問題、脳の血流であるとかに影響が出やすい場所である。
それに対して第二小臼歯は影響が出にくい。臼歯に近いので臼歯の役割に則った役割を果たす、つまり側方的なファクターが強いということ。

 

大臼歯はどういうところに影響してくるか。
たとえば、右の肩こり、右の腰・足がすごくダメなんですという人がいます。
これは右の大臼歯が悪い、しっかり受け止めてくれない。
右で噛んだ時に大臼歯で力をしっかり受け止めてくれないから右半身全部ダメになる。
これは僕が臨床経験からつかんだこと。
大臼歯は垂直的なサポート、しっかり受け止めてくれることが大事。
そういう時にどんな方法で検証するか。
ウエットティッシュを二重三重にして短冊にして、大臼歯の上に乗せる。そして噛んでもらう。そうするとバシッと決まります。

 

 

Q.舌側咬頭の役割

 

A.まず頬側咬頭はせん断に一番大事。頬側咬頭で顎を支えるこれは大事だよね。
舌側咬頭は接触させないよね、むしろ接触したら問題が起こりやすい、せん断できなくなってすごくまずいよね。
なのに舌側咬頭を神様がつけてくれてるわけ。
まず側方的なずれを防いでくれる。もちろん尖ってるから前後にもずれにくいが、逆にずれやすい場合もある。
そして頬側咬頭と舌側咬頭の間に入ることによって食べ物がこぼれ落ちるのを防ぐ。

 

上顎の第一小臼歯の舌側咬頭、解剖学的にこの咬頭は背が高いよね。そして近心によっている。
この舌側咬頭の位置が異常になると、上顎の3番と4番の間の骨吸収がすごく生じる。
第一小臼歯の舌側咬頭はすごく大事なので、便利抜去や矯正などで抜いてしまうのは絶対に良くない。
骨吸収によって開閉時に引っかかったり、後方偏移が起きたりする。

 

昔、アレキサンダー矯正研究会に特別講演で呼ばれたときの話だけど、研究会の先生方の術前と術後の症例が何十症例とあってアレキサンダー先生が評価していって、最優秀賞に選ばれたんだけど、その中で4番抜去のケースがずらっとあって、全部が後方にずれるの。
上顎と下顎を持って前後させるとツルツルなの、ストップがきかない。その時に認識を新たにしたの。
神様は無駄なものは作ってない、舌側咬頭はそういう役割も果たしているわけ。

 

 

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かみ合わせ治療はすぐに効果を実感できます。

長い間病院に通ったけどとれない痛み、マッサージに通ったけどとれないコリ感。

それはかみ合わせが悪い可能性があります。

当院では無料個別相談会も実施しております。

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