「丸山咬合医療シリーズ」
Ⅰ、身体の不調はすべてアゴズレが原因
⑥アゴずれが起こりにくい人、起こりやすい人
地球の自転による顎偏位(がくへんい)は、人によって程度の差があります。
個人差が生じる理由として考えられるのは、まず日常的な運動量です。
アゴは全身のバランサーですから、歩いたり走ったりする事で動き、バランスの取れる位置に落ち着こうとします。
したがって身体を動かす人、運動をする人ほど顎偏位が少なくなります。
逆に身体を動かすことが少ない人はアゴも動かず、偏った位置で硬直しやすくなります。
また、アゴの筋力が強い人にも、アゴズレが起こりにくい傾向があります。
例えば、アスリートに比較的アゴズレが少ないのは、普段から運動を継続して筋を鍛錬している影響かもしれません。
一般の人でも、食事をしっかり噛んで摂っている人ほどアゴの筋肉が鍛えられ、アゴズレが起こりにくくなります。
硬いものをたくさん食べていた昔の人たちは、アゴが発達して筋力もありました。
そのため、少しアゴがズレても、持ち前の筋力ですぐに正しい位置に修正されたと考えられます。
反対にアゴズレが起こりやすいのは、噛むことが少なく、アゴの咀嚼力(そしゃくりょく)が弱い人です。
成長期に軟らかいものばかり食べていると、アゴの骨格の発達も悪く、筋力がつきません。
それは、アゴズレしやすい弱い体質になるということですから、注意が必要です。
さらには、アゴズレによる症状の出やすさにも個人差があります。
アゴが多少ズレても、全身が健康なら、すぐに不定愁訴(ふていしゅうそ)につながるわけではありません。
大多数を占めているのは、アゴが多少ズレていても健康な人です。
しかし、虚弱体質の人や、精神的にナイーブな人、あるいは体力が低下したときなどには、アゴズレの影響を受けやすくなるのです。
そして、アゴズレの原因は地球の自転だけではありません。
より大きな原因は、生活の中に潜んでいます。
特に歯のかみ合わせが悪い人や、悪い噛み方(咀嚼)をしている人には、アゴズレがよく起こります。
そのうち、かみ合わせについては、歯科医師の適切でない治療がアゴズレの原因になる場合もあるので注意が必要です。
適切でない治療とは、歯の欠けた箇所を補う治療で不用意な補綴(ほてつ)や、単純に上アゴだけを基準にしたかみ合わせの治療などです。
生活習慣でやめていただきたいのは、ほおずえをつく癖や、合わない枕の使用などです。
これらは、アゴをおかしな方向に圧迫して、ズラしてしまう可能性があるからです。
他にも、カバンの持ち方、イスに足を組んで座る癖、本を読むときの姿勢、寝相など、何気ない動作がアゴズレの基になります。
偏った動作は姿勢を崩し、その姿勢のゆがみに対してアゴがバランスを取ろうとするために、顎偏位を起こすのです。
参考文献:「咬合革命」、「知られざるアゴの秘密」丸山剛郎先生著
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