Ⅰ、身体の不調はすべてアゴズレが原因
  ④五重塔が地震で倒れないのもバランサー(心柱)のおかげ

わが国は地震大国と呼ばれ、世界中で起こる地震の10%を占めているといわれております。
そのため、大昔から建築物の制震技術が発達してきました。
例えば五重塔や三重塔に、そうした技術の粋が見られます。

1300年以上昔の法隆寺の五重塔をはじめ、古い多層の塔は各地にありますが、いずれも地震に強い共通の構造をいろいろ備えています。
その構造の中でも、特に注目すべきなのが「心柱」(しんばしら)の存在です。

五重塔は、その中心に必ず5層全体を貫く大きな柱を持っています。
それが心柱と呼ばれるものですが、この柱には大黒柱のように建物全体の重量を受けとめる役割はありません。
心柱は塔の最上層とだけつながり、そこから吊り下げられているのです。
言ってみれば塔全体の重りのような役割をしています。
心柱の一番下の部分は、礎石の上に載っている場合もありますが、宙ぶらりんに地面から浮いている場合もあり、どちらにしても地中に立てられてはいません。

そのため、大きな地震が来たとき、塔全体の揺れと心柱の振れにズレが生じて、倒壊につながる様な横揺れを吸収する事ができるのです。
実際、法隆寺の五重塔は長い歴史の中で何度も大きな地震に見舞われても、一度も倒れたことがありません。

2012(平成24)年に完成した東京スカイツリーですが、634mという塔を現代の技術でつくろうと試みた結果、いわば、現代の最新技術と伝統的構法が出会ったわけです。
そこで、スカイツリーの制振システムを五重塔になぞらえて、「心柱制振」と呼んでいます。
@東洋経済ONLINE
直立した構造物において、吊り下がった重り、すなわちバランサーがいかに重要な役割を果たしているかご理解いただけると思います。
アゴの機能として注目すべきなのが、このバランサーとしての動きですが、それは同時に偏位(ズレる)宿命がアゴにあるということです。
バランサーであるアゴが、身体の中心軸に対して正しく下がっていれば問題はありません。しかし、中心軸からズレてしまうと、全身のバランスが崩れます。

すなわち、アゴがズレると必然的に姿勢が悪くなり、頭蓋骨から骨盤に至る背骨のどこかにゆがみが生じます。
すると、骨格を支えている筋肉なども、バランスを取るために緊張します。
この緊張が、コリや痛みを招くのです。
 
 
参考文献:「咬合革命」、「知られざるアゴの秘密」丸山剛郎先生著
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