タバコの口内への影響
2020年4月に改正健増法が全面施行され、吸わない人が煙の迷惑にならないように、屋内は原則禁止など愛煙家の方には肩身が狭くなりました。
しかし、それ以上にタバコは体に悪いというのは皆さんもよくご存知だと思います。
体への入り口である口腔が深刻な影響を受けるということは知っていますか?
「歯が茶色になってタバコ臭くなるんでしょ?」
もちろんそれもあります。
長年の喫煙による歯の着色は毎日の歯みがきや
歯医者さんでの定期的なクリーニングでもなかなか防ぎきれません。
さらに歯の着色だけでなく歯ぐきまで黒くなってきてしまう場合もあります。
そしてタバコの臭い以外にも素の口臭が強くなってきます。
タバコは歯周病菌などに対抗する体の機能を阻害します。
血管の収縮、免疫細胞の機能低下、歯肉の修復の阻害など
どんどん歯周病になりやすい口内環境になっていきます。
ある統計によると1日10本以上喫煙すると5.4倍、10年以上吸っていると4.3倍
歯周病になりやすく、また重症化・治療後の再発もしやすくなります。
歯周病は菌の出す臭いで口が臭くなったり
歯ぐきが腫れてきたり、痩せこけて歯が根本までむき出しの状態になるなど
歯を残せなくなる主な原因の一つです。
これらの悪影響が本人だけにとどまらないのも大きな問題です。
分煙は外だけで、家の中ではしていないという人も多いのではないでしょうか?
一番身近で大切な家族が悪影響を受けてしまうことになります。
特に子供は受動喫煙の影響が大きいと言われています。
「喫煙者のいる家庭で育った子どもは、家族に喫煙者がいない子どもに比べて、
3歳までにむし歯になる可能性が2倍になった」という研究結果や、
妊娠中に近くにタバコを吸う人がいると、生まれた赤ちゃんの発育が遅れたり、
気管支喘息や気管支炎などにかかりやすくなるほか、
乳幼児突然死症候群の危険性が5倍近くになるという研究報告もあります。
「電子タバコのiQOS(アイコス)に変えたから大丈夫」
iQOS(アイコス)は一般的なタバコと比べて
有害物質が90%以上カットされているといわれています。
しかし、安全というわけではありません。
煙ではありませんが水蒸気という形で出ている副流煙に
普通のタバコの10%程度は有害物質が含まれています。
もともとの危険性が高いだけに10%程度でも
十分に悪影響があるといえるので、
歯科医としてはすぐにやめましょうというほかありません。
こんな怖い話もあります。
タバコには大気汚染物質として話題の「PM2.5」という
微小の有害物質も大量に含まれています。
日本では、屋内の喫煙規制が国際的に遅れていて
分煙をしていない店でのPM2.5の値は約600µg/m3と、
中国及び米国の大気汚染のリスク評価で「厳重汚染」とされている
「250~500μg/m3」を超えるレベルとなっています。
PM2.5は非常に小さな粒子であるため、肺の奥深くまで入り込みやすく、
肺をはじめ全身の炎症を引き起こします。
そのためPM2.5の濃度が高い地域では、
呼吸器・循環器疾患による死亡率が上昇することがわかっています。
WHOの見解では、世界で受動喫煙により毎年数十万人の非喫煙者が死亡し、
職場の受動喫煙によって毎年およそ20万人の労働者の命が奪われているとの
衝撃的なデータもあるようです。
自分と周りの大切な人たちの命、そして口内。
自身の行動で少しでも良い方向に向かっていけるようにしたいですね。
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