「丸山咬合医療シリーズ」
Ⅰ、身体の不調はすべてアゴズレが原因
⑨全身のバランスとアゴの関係
前回までのブログでは、アゴのズレが頭頸部(とうけいぶ)に及ぼす主な影響を解説しましたが、ではアゴズレが起こると、首から下にはどんな影響が生じるのでしょうか?
歯科ではかなり前から、アゴズレが背骨の「ゆがみ」につながり、全身の姿勢に影響が及ぶことを指摘してきました。
今回は最新の解剖学的研究も踏まえ、「A.ロルフィング」、「B.テンセグリティ」、「C.アナトミートレイン」など三つの理論に基づいて考察しますが、長くなるので今回は「A.ロルフィング」、「B.テンセグリティ」について解説します。
A.ロルフィング(Structural Integration)
ロルフィングとは、アメリカの生化学者「アイダ・ロルフ」によって、1920年に創設されたボディーワークです。
ロルフィングでは、バランスが取れている身体を「重力と調和した身体」と表現します。
そして、ボディーワークでは、重力が通るその中心軸に対して、身体の各部位(パーツ)の連携の取れた動きを引き出すことを重視するのです。
身体の部位に即して言えば、頭頂、耳、アゴ、肩、肋骨、骨盤、脚が垂直に並び、重力がその身体の中心軸を通ることで全身のバランスが保たれているという考え方です。アゴがズレると、この中心軸と重力の調和が崩れ、健康が損なわれると考えられます。
B.テンセグリティ(Tensegrity)
テンセグリティは、アメリカの建築家・発明家である「バックミンスター・フラー」が提唱した概念です。
やや耳慣れないこの名前は、テンション(Tension/張力)とインテグリティ(Integrity/統合)という二つの言葉を掛け合わせた「造語」です。
建築家でテンセグリティ構造とは、物を引っ張る力(引張力/ひっぱりりょく)と押しつぶす力(圧縮力)の均衡によって安定を保つ設計のことです。
この概念は、高層ビルの建築などにも活かされていますが、逆に言えば、引張力と圧縮力のバランスが崩れると、建物があっけなく崩壊するということも言えるのです。
この概念を人体に当てはめると、全身の骨格は筋肉の引張力と圧縮力によってバランスが保たれていることになります。
そこで、何らかの原因でアゴがズレた場合、引張力と圧縮力の均衡が崩れて全身の骨組みに大きな影響が及ぶと考えられます。
次回は「アナトミートレイン」について解説します。
参考文献:「咬合革命」、「知られざるアゴの秘密」丸山剛郎先生著
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